2020年度は新型コロナウイルスの流行により、海外へ渡航することはできませんでしたが、ゼミメンバーと台湾、米国を繋ぐオンライン講演会や学生交流を数週間にわたって行い、「バーチャル台湾研修」としました。現地の雰囲気を直に味わうことはできませんでしたが、現地で活躍する方、現地の大学生の声を聞き、対話を行うことで、台湾に関する理解が深まりました。講師のご都合により、詳細をご紹介できない部分もありますが、ゼミ生の感想(☆★印)を中心に、研修の概要を記録しておきたいと思います。
オンライン学生交流の様子
貴重な機会でした
第1週 日本メディア台北支局長による講演
日本の大手メディアで台北支局長を務めておられる方に、お話を伺いました。台湾における新型コロナウイルス対策、アイデンティティの高まり、フェイクニュースの問題など、台湾の政治・社会の最先端に関する理解が深まりました。
☆台湾では早めの段階で対策をし、コロナの感染拡大を食い止めたという話を聞きいた。なかでも、罰金の制度でマスクの装着を徹底したという話に驚いた。
★フェイクニュースに対応していくために自分たちができることは、ニュースに対して1回疑問を持ってみることだ。この習慣をつけることでフェイクニュースであふれた世の中で、本当の情報を集められるというお話が印象に残った。
第2週 福田による講演
スタンフォード大学で在外研修をしていた福田が、コロナ危機のなかで台湾政治や台湾を取り巻く国際環境がどのように変化したのかについて、米カリフォルニアからお話ししました。
☆コロナ危機の中で、新興国中国と先進民主主義との間で中国や台湾をめぐる国際世論が二分化したことが分かった。そのような状況下で、台湾がWHOへのオブザーバー参加を拒否されたことに、全世界から注目が集まった。また、台湾市民もコロナ封じ込めの成功により自信を付けたにもかかわらず、WHOでの扱いには改めて失望しただろうと感じた。
★台湾政府の新型コロナ対策に関しては、日本は学ぶべき部分があると感じた。中国への危機感もあったと思うが、情報を察知し、初期対応や入国管理への動きが早かったために感染者数を抑えられたのだろう。
第3週 台湾プロ野球関係者による講演
台湾でプロ野球に関わるお仕事をされている方に、お話を伺いました。野球を介した日本と台湾の繋がりは、日本統治時代に遡りますが、近年ではプロ野球や少年野球を通じた交流が再び活発化しています。そのような日台交流の最先端について、台湾からお話しいただきました。
☆例えば、交流試合の実施、コーチや選手の派遣、スタジアムの年間シート購入など、日本と台湾のプロ野球球団の間では、様々な形態の交流があることが分かった。また、野球観戦ツアーや関連イベントを互いに企画すれば、ビジネスを拡大できるチャンスにも繋がると感じた。
★プロ野球球団という、人によってはなじみのない所にも、日台交流が深く根付いていることが分かり、日本と台湾の絆の強さを再認識した。政治以外でもこうした深いかかわりを持っておくことが、双方の民衆が互いに良い印象を持つことに繋がり、巡り巡って政治的な関係にも良い影響を与えるのではないかと感じた。
第4週 輔仁大学日本語学科との学生交流
バーチャル台湾研修の締めくくりとして、輔仁大学日本語学科の学生との交流会を行いました。交流会では、「コロナ危機後の日台関係」というテーマで、新型コロナウイルス対策における日本と台湾の共通点と相違点、さらにはそれらを踏まえた上で必要とされる日台協力のあり方について、議論を行いました。Zoomのブレイクアウトルーム機能を使って、グループごとに議論を行い、議論の結果をGoogleスプレッドシートに書き込み、共有を行った上で、最後に全体討論を行いました。
☆日台の対応について、実際に住んでいるからこそわかる情報を交換することで、互いの対応をより客観的に評価できるようになった。特に日本と台湾の対応の差は、時系列を見ればで明らかで、日本の対応の遅さを改めて実感した。
★日本と台湾は例年多くの観光客がそれぞれの国に足を運んでいることから、①新型コロナウイルスの波が今よりある程度落ちつくこと、②ワクチンの効能が認められ治療法が確立すること、これら2つが揃うことを条件に、日台間の観光目的の往来を許可し、両国の交流を深めると共に経済循環を促すための協力ができると話し合った。